大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(モ)7068号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕四、仮処分の必要性

<証拠>によれば、小林の夫栄一郎は昭和四〇年三月以来失業中であり、娘民子はソ連留学中であつて、小林夫婦は小林が健文から得る賃金(編注・月額三〇八五〇円)を唯一の生活の資としていたところ、小林は昭和四一年三月解雇の意思表示を受けて以来賃金収入途絶え借金をする等経済上著しい損害を受けたこと、その後同年八月栄一郎は世界労連東京出版事務所に就職し月額五万円の給与を得ているが、娘民子は昭和四四年七月帰国し小林らと同居しており、いまだ就職し賃金を得るのはこびに至らないことが認められる。

小林の賃金収入がなくなつたことは地位保全賃金仮払の仮処分の必要性を肯認するに足りる事情であるが、小林は元来夫婦ともに収入を得て生計をたてていたものであるから、小林の賃金収入がなくなり夫婦ともに無収入となつた後、栄一郎が月五万円の賃金を得るに至つたからとて、これをもつて、小林夫婦の年令、社会的地位、従前の生活程度に照らしてその最低生活を維持するに足りるものであるとはいえず、従つて小林のため右仮処分命令を発する必要性を阻却するに至るものと断定はできない。従つて、昭和四三年二月(原決定発令時)においても昭和四四年一〇月(本件口頭弁論終結時)においても、小林が健文に対し労働契約上の権利を有することを仮に定め、賃金として昭和四一年四月末日限り一九、九〇三円、同年五月から本案判決確定まで毎月末日限り三〇、八五〇円の仮払を命ずる仮処分命令を発する必る要性があといわなければならない。(沖野威 小笠原昭夫 石井健吾)

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